エントロピーの秘密

最近読んだ本が衝撃だった。

科学系の本シリーズであるブルーバックスの「エントロピーがわかる」という本。

あまり、期待していなかったのだけれど、目から鱗、世界の見方がかわる位の衝撃をうけた。

この本は、翻訳本で、原本のタイトルは、”Entropy Demystefied”

エントロピーの脱神秘化という意味。

サブタイトルは、”The second law reduced to plain common sense”

エントロピーは、よく無秩序の尺度だといわれる。しかし、なんだかよくわからないけれど、これを用いるといろいろな現象が説明されるのだ、という物理学者、化学者などを強く引きつけるものだ。

エントロピーは、物理学では、熱力学と統計力学にでてくる。

熱力学では、エントロピーの増加の法則は、熱力学の第2法則といわれる重要な法則である(第一法則はエネルギー保存則)。

統計力学では、物体は、原子や分子でできているという記述で熱力学を書き直し、やはりエントロピーがでてくる。

一方で、情報科学でもエントロピーはでてくる。

いったい、エントロピーとは何なのか?

「エントロピーがわかる」という本では、既存のエントロピーの説明はこうです、ということは書いていない。それは、熱力学の教科書などをみるといいでしょう。ただ、そこでちゃんと書かれていないから神秘的なのかもしれないのだけれど、

この本では、エントロピーとは、いかのようなものであることが分かる。

(1)熱力学第2法則の言っていることは、「起こる確率の高い現象は、よく起こる」

ということだった。あたりまえじゃないか!と怒ってはいけない。

これが本のサブタイトルの意味なのだ。

さらに、

(2)エントロピーは無次元量

これの意味するところは大きく、エントロピーを持ち出すことで物理的には新しい情報に結びつかないということを意味しているのではないか?とおもう。

著者は、熱力学は、第2法則がなくても成立しうる、と考えている。これは、例えば、エントロピーの増加現象を、熱の損失、など他の物理量で置き換えることができるためである。

つまり、エントロピーをよく理解することは、熱力学や物理をよく理解することに貢献しない。

逆に、熱力学や物理から、エントロピーの一端を理解することはできる。歴史的におこったのは、こっちである。

物理を習った人間として、熱力学第2法則はいらなかった、というのは衝撃だ。

まだ習うまえに、この本を読んだ人は、はじめっからエントロピーとはこういうもの、と理解ができ、悩みがないのかもしれない(しかしそれだけでは熱力学の単位はとれないだろう)。

この本を理解するには、熱力学の知識も統計力学の知識も、情報理論の知識もいらない。

 

この本の著者は、ホームページに、本の内容の重要な一部(1章と8章)とシミュレーションをおいている。

Entropy (Arieh Ben-Naim)

このシミュレーションをみると、2章から7章の内容をカバーできる。

特に大事なのは以下のシミュレーションだと思う、

Simulation 1 (Arieh Ben-Naim)

これは、0と1のさいころゲーム。縦軸はさいころの和。横軸はゲームの回数。

すべてのさいころを0からスタートさせ、半分の確率で、ゲーム一回ごとに、0か1となる。

縦軸は、エントロピーを表している。

熱力学では、横軸を時間と思えばいい(しかし時間である必要性はない)。

エントロピーの秘密、それは、エントロピーは神秘的な法則ではなく、かといって難しい物理法則でもなく、ただの常識を言い直したものだった!

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エントロピーの秘密 への1件のフィードバック

  1. nazonazo より:

    原著へのリンクをどうもありがとう。この歳になって、はじめてエントロピーをちゃんと理解できました。熱力学、週末に勉強しなおしです。非常に楽しみです。

    英語で少し大変ですが、もし時間があったらぜひ原著を読んでみてください。公開されている前書き、1章、8章だけで十分です。目から鱗がもう2枚くらい取れるはずです。

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