天文学者がみる福島原発: Frank Shu博士のレポート

東日本大地震から20日がすぎた。

福島原発が大変なことになっているけれど、

休暇予定だったので、予定を変更することなく3月21-31日の日程で東京へ帰ってきた。

飛行機も通常どうりだし、東京も電気がピカピカついていて至って普通にみえた。

妹も親もだんなだけでなく、多くの人が結構、楽観的のようにみえた。いいのだろうか?

福島原発で何がおこったか、これからどうなるか、ということに関して

Frank Shuという天文学者が概算をしてレポートがある。よく読まれているらしいと知り合いの天文学者がおしえてくれた。

http://www.asiaa.sinica.edu.tw/news/_upload/201103JapanNuclearAccident.pdf

これは、Frank Shu先生が、3月17日に書いたもので、今はすこし改訂されているが、

オリジナルは、16日までの情報をもとに、17日に出されたもの。

たった一日でこれだけのものを書けるとは、普段の素養が全然違うなあ、と科学者としての差を感じる。。。

内容は、大学1、2年生が習う物理で理解できる。

水素爆発時の圧力とそれが及ぼす影響と溶融するかどうかの熱計算。

原子力でおこっていることは、星の中で起こっていることと似ているので、天文学者が親しみ深い計算内容なのだろうか?

原子力でおこっている(いなければならない)ことは、核分裂による熱生成と機械による冷却

星の中は、核融合による熱生成と黒体放射によるゆるやかな冷却

工学部の人がみたら、なんて大雑把な、、、とあきれるかもしれない、

でも、大雑把なほうが本質的な内容と最終的にどうなるのか、見通しがたちやすい。

そして素早い計算が可能。

また、詳細や、実際に内部を調べなくても、たとえば、水素爆発があった原子炉では圧力抑制施設が破損されているだろう、などということは予想がつく、

また、このレポートは計算方法と大雑把な値をいれた概要を示していて、

時々刻々と状況(たとえば水の量)が変わっている今回のような場合、断定的な結論より有用だろう。常に計算をして考え直すことが可能。

Frank Shuレポート、私の要約(正確なニュアンスは原文を)

(1)水素爆発時の圧力は少なくとも84気圧。

この衝撃で、格納容器を破壊していないが、おそらく圧力抑制装置は破損している。

(2)もし、冷却がない場合(一滴の水もない場合)、およそ1日で格納容器破損。

(3)水による自然な冷却だけだと、コンクリート一部に熱をため破損するだろう。

 

以下、Frank Shu レポートを悲観的に解釈すると。。。

燃料は、格納容器とコンクリートの建物に収まっているもののそれで安全とはならない。

かえってこの厚いコンクリートが、放射能を防ぐにはよくても、放熱を非効率にしてしまう。

もし、溶融がおこれば、または、温度があがれば、熱はコンクリート建物を暖め、コンクリート建物は崩壊。

一番怖いのは、格納容器の圧力があがり、格納容器自身があるところで爆発する、コンクリート建物も爆発で破損、または持ちこたえても、熱で破損。

放射性物質が野ざらし同然となるリスクが高まる。

え?悲観的すぎる?

今日、ニュースをみると警察がデマを厳しく注意しているらしい。

不十分な理解に基づく見解を書くことも、人に正確、不正確に伝わるとき、デマにつながるのかもしれない。それでも、十分な理解というものは理想ではあるけれど、そんなことをいうと発言できなくなり、それはそれで結果デマを呼ぶのかもしれない。原子力技術に限ったことではないけれど、過去に十分な実証研究がないことについては、科学的に十分な予測がたてることができない。

 

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天文学者がみる福島原発: Frank Shu博士のレポート への2件のフィードバック

  1. nazonazo より:

    偶然このページを見つけたのですが、コメント欄があるようですので
    Frank のレポートの裏話を少し。

    上記のレポートは、弊研究所(すなわちFrank や僕の所属する研究所)のトップページから
    アクセスできるようになっていました。確かに、理系の学生や研究者が素養として読むものと
    してはすばらしいもので、僕も大変に勉強になりました。一方で、あの危機的な時点で
    公的な理系研究機関のトップページに公開するのは、いくつかの点で問題があったと思います。

    彼のレポートに感激した一部のスタッフが、所内で十分な議論のないままレポートを
    トップページに貼ったのですが、私をはじめ数人の日本人スタッフが反対し、結局
    トップページからは数日で外されました。
    貼った方も悪意があったわけではなく、一方で日本人スタッフと他のスタッフの間で情報量や
    危機感に大きな差があったことから、その後所長を交えた議論でもフィーリングの溝は
    なかなか埋まりませんでした。
    結局、福島原発の状況があれ以上悪化することにはならず、内部での議論はフェードアウトして
    いきました。Frank はその後もしばらく、海外からのいろいろな情報を僕にフォワードして
    くれましたが。。。

    いずれにせよ、このレポートが今も上記リンクから取れることは、僕も知りませんでした。
    今であれば問題なく読めますし、こうやって誰かがリンクを貼ってくれているのを
    眺めるのは嬉しいです。所内で他に喜ぶスタッフもいるのではないかと思います。

    • mihokabuto より:

      コメントと裏話ありがとうございます。
      このレポートは、はじめ台湾の友人科学者から、PDFでいただき読むことができました。すばらしいレポートだと感激しました。
      その後、ブログを書いたときに、検索したところ、オリジナルと思われるリンクを見つけたという経緯です。

      公的な研究機関として公開することの問題点は私にはわかりませんが、
      私は、科学者の鏡といえる態度であると感じました。

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